「これって違反?」タクシーの営業区域で知っておくべき基本ルール

タクシーの営業は、「営業区域」と呼ばれるタクシー会社ごとに指定された区域内に限って認められており、その区域外で営業することは禁止されています。

「稼げそうだから」といって、タクシーは場所を選ばず自由に営業してよいわけではありません。

営業区域のルールを正しく理解することは、自分を守り、会社を守り、安心して長く働くための第一歩です。

本記事では、タクシーの営業区域について、初心者にも分かりやすく解説します。

本記事でわかること

  • タクシーの営業区域で守るべき基本ルール
  • 営業エリアのOK/NGを現場で正しく判断する方法
  • 営業区域外で起こりやすい違反と、迷ったときの対処法
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ドライバージャーナルコラム編集部
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目次

タクシーの営業区域とは

タクシーの営業区域とは

タクシーの営業は、どこでも自由にできるわけではありません。法律によって定められた「営業区域」の中でのみ、営業が認められています。

ここでは、知らないうちに営業区域外で違反しないよう、タクシー営業の基本となる「営業区域」の考え方を分かりやすく解説します。

営業区域は法令で定められている

タクシーには、事業者ごとに営業区域が定められており、道路運送法第20条では「乗車地・降車地の両方が営業区域外となる運送」を原則禁止しています。

認可を受けていない区域での客待ちや流し営業は、原則として認められていません。営業区域は、需要と供給のバランスを保ち、地域の交通秩序を守る目的で設定されています。

「稼げそうな場所」や「人が多い場所」を理由に、自由に営業場所を選ぶことはできません。営業区域外での営業は法律違反となるため、営業区域内での活動を徹底する必要があります。

営業区域は会社単位で決められている

タクシーの営業区域は、個人ではなくタクシー会社ごとに指定されています。同じ市区町村内であっても、会社が異なれば営業できる区域が違う場合があります。

自分が所属している会社の営業区域が基準となるため、他社のタクシーが営業している場所を見て「ここなら大丈夫そうだ」と自己判断するのは危険です。

また、ドライバー個人の判断で営業区域を広げたり、別の営業区域で営業することはできません。

営業区域を正しく把握し、会社のルールに従って営業することが、違反を防ぐための重要なポイントです。

営業区域のOK/NG判断ポイント

営業区域のOK/NG判断ポイント

営業区域の判断で迷う場面は、現場では少なくありません。

ここでは、OKかNGかの判断基準を紹介します。

一目でわかるOK/NG判断表

タクシーの営業区域については、判断のポイントはシンプルです。発地と着地の両方が営業区域外かどうかを確認するだけで、OKかNGかを判断できます。

以下に、代表的な判断例をまとめました。

営業区域のルールに違反すると、運転者本人だけでなく、会社全体にも指導や行政処分などの影響が及ぶおそれがあります。

日頃から法令を正しく理解し、営業区域を意識した適切な運行を心がけることが大切です。

営業区域は地域ごとに異なる【東京を例に解説】

営業区域は地域ごとに異なる【東京を例に解説】

タクシーの営業区域は、全国共通で同じというわけではありません。地域ごとに区分されており、営業できる範囲は異なります。

ここでは一例として、営業区域が細かく分かれている東京都を取り上げて解説します。

都内は複数の営業区域に分かれている

東京都内のタクシー営業区域は、一つのエリアにまとまっているわけではありません。23区内や多摩地域など、複数の営業区域に細かく区分されています。

そのため、同じ都内であっても、区域によっては営業できない場合があるため注意が必要です。

以下では、東京都内の主な営業区域を例として紹介します。

営業区域区 域
特別区・武三交通圏東京都特別区、武蔵野市及び三鷹市
北多摩交通圏立川市、府中市、国立市、調布市、狛江市、小金井市、国分寺市、小平市、西東京市、昭島市、武蔵村山市、東大和市、東村山市、清瀬市及び東久留米市
南多摩交通圏八王子市、日野市、多摩市、稲城市及び町田市
西多摩交通圏青梅市、福生市、あきる野市、羽村市及び西多摩郡
瑞穂町、日の出町、奥多摩町、檜原村
関東運輸局:特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び
活性化に関する特別措置法

東京都内であっても営業できる区域は会社ごとに異なるため、自分が所属する会社の営業区域を正確に把握しておくことが重要です。

営業区域外で起こる違反と処分

営業区域外で起こる違反と処分

タクシーの営業区域違反は、「少しだけなら大丈夫」「知らなかった」という理由でも見逃されません。現場では判断に迷う場面もありますが、営業区域外での営業はルール違反です。

違反が確認されると、ドライバー個人だけでなく、会社全体にも影響が及ぶ可能性があります。

ここでは、営業区域外で営業した場合に起こる処分やリスクについて解説します。

営業区域外で営業するとどうなる?

営業区域外で客待ちや流し営業を行うと、道路運送法違反として車両の使用停止等の行政処分を受ける可能性があります。

関東運輸局が公表している「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準」には、下記のように記載されています。

違反の区分初違反再違反
臨時・偶発的なもの10日車20日車
反復・計画的なもの20日車×違反件数40日車×違反件数
※「○日車」とは、その車両を一定期間営業に使用できなくする処分を指します。

営業区域のルールは、安全で公平なタクシー運行を守るためのものです。安全で公平な運行を維持するため、法令を遵守し、適切な営業活動を行うことが求められます。

営業区域外の営業はなぜ発覚するのか

営業区域外の営業はなぜ発覚するのか

営業区域外で営業しても、「バレなければ大丈夫」と思っていませんか。実際には、タクシーの営業状況はさまざまな形で記録・管理されています。

意図せず違反してしまったケースでも、後から発覚することは珍しくありません。ここでは、営業区域外の営業がどのようにして判明するのかを解説します。

営業区域外での営業はバレる?

タクシー営業では、以下のような情報が常に記録・管理されているため、営業区域外での営業は発覚する可能性があります。

  • GPSによる車両位置情報の管理:車両の走行ルートや客待ち位置がGPSで記録されます。
  • 乗務記録・日報・デジタルタコグラフ:乗車地・降車地・運行時間などの運行内容が記録として残ります。
  • 売上データ・配車アプリの履歴:売上情報や配車地点がデータとして保存され、履歴を確認できます。

これらの情報をもとに、運輸局の監査や会社内部のチェックによって、営業区域外での客待ち・流し営業が判明するケースは少なくありません。

営業区域外でも認められるケースはある?

原則として、営業区域外での営業は禁止されていますが、道路運送法によりすべての運行が違反になるわけではありません。

代表的な例として、以下のようなケースがあります。

  • 過疎地域などの特例:公共交通が十分に整備されていない地域では、道路運送法施行規則第18条の2に基づき、条件付きで営業区域外運行が認められる場合があります。
  • 大規模イベント等に伴う特例措置:大規模イベント時には、国や運輸局の要請により特例運用が行われることがあります。大阪・関西万博では、大阪府内全域での運行を可能とする「なにわモデル」が導入されています。
  • 大規模災害時の特例対応:地震・台風・豪雨などの大規模災害が発生した場合、道路運送法施行規則第21条の1に基づき、国土交通省や運輸局の指示・通達に基づき例外的に営業区域外での運行が認められることがあります。

例外となる場合は、法令や社内ルールを確認したうえで対応することが重要です。

迷ったときの判断基準

迷ったときの判断基準

タクシーの営業区域で迷ったときは、判断をあいまいにせず安全第一で行動することが重要です。

ここでは、迷ったときのシンプルな判断のポイントを紹介します。

判断基準は「区域外×区域外」になっていないか

判断基準は「区域外×区域外」になっていないかです。乗車地または降車地のどちらか一方でも営業区域内であれば、この規定には該当しません。

ただし、両方とも営業区域外となる運送は、道路運送法第20条により禁止されています。

営業区域を正しく判断し、法律に基づいた運行を徹底することが大切です。


不安なときは必ず会社に確認

営業区域の判断で迷った場合は、自己判断を避けましょう。会社に確認することで、違反リスクを未然に防ぐことができます。

特に例外的な状況や初めてのケースでは、指示を仰ぐことが重要です。

安全で適法な運行を守るためにも、判断に迷ったら必ず会社に相談しましょう。

迷ったら乗せない

営業区域の判断に迷ったときは、無理にお客さまを乗せずに対応することが基本です。

区域外で降ろしたあとに戻る場合は、回送として対応しましょう。

自己判断で営業すると、法律違反や行政処分のリスクがあります。安全かつ適法な運行を優先することで、自分も会社も守ることができます。

「これって違反?」迷いがちな営業区域のケース

「これって違反?」迷いがちな営業区域のケース

営業区域の判断で迷う場面は、自己判断せず確認することが大切です。ここでは、タクシー運転手がよく直面する迷いがちなケースを紹介します。

ケースごとに対応のポイントを押さえておくことで、違反リスクを減らせます。

区域外で手を挙げられた

営業区域外でお客様に手を挙げて呼び止められた場合は、まず目的地を確認します。重要なのは、降車地が営業区域内かどうかです。

乗車ができない場合は、その理由を丁寧に説明し、他の交通手段を案内するなど、誠実な対応を心がけましょう。

アプリ配車なら大丈夫だと思った

アプリ配車であっても、営業区域の制限が免除されるわけではありません。

配車依頼を受けた際は、まず乗車地が自社の営業区域内かどうかを必ず確認する必要があります。

たとえ配車アプリからの依頼であっても、乗車地が営業区域外であれば原則として対応できません。

アプリかどうかに関わらず、判断の基準は「どこでお客さまを乗せるか」です。ルールを正しく理解し、法律を遵守した運行を徹底することがタクシー運転手としての基本です。

乗車中に目的地が変更になった

乗車地が自社の営業区域内であれば、乗車中に目的地が営業区域外へ変更された場合でも、原則として運行は可能です。

これは、タクシーの営業可否は「どこでお客さまを乗せたか(乗車地)」を基準に判断されるためです。

タクシーの営業区域に関するルールを理解しておくことで、運転手は適切に対応できるようになります。

ただし、判断に迷う場合やイレギュラーなケースでは、自己判断せず、その場で会社に確認することが安全です。

タクシー営業区域に関するよくある質問

タクシー営業区域に関するよくある質問
営業区域外で降ろすのは違反ですか?

乗車地が営業区域内で、降車地が営業区域外の場合、違反ではありません。

この場合、判断基準はあくまで「どこでお客さまを乗せたか」であり、目的地が営業区域外であっても問題なく運行できます。

ただし、営業区域外で降車した後は、新たな客待ちや流し営業はできないため、速やかに営業区域内へ戻る必要があります。

営業区域外で休憩・待機するのは問題ありませんか?

営業区域外でのトイレ休憩や食事など、営業を目的としない行為であれば問題ありません。ただし注意が必要なのは、営業行為とみなされる行動です。

営業区域外で停車する場合は、表示器を「回送」に切り替える、客待ちと誤解されやすい場所を避けるなどの対応が重要です。

営業区域の境目が分からないときはどうすればいい?

営業区域の境目が分からない場合は、自己判断で営業しないことが最も重要です。


会社から配布されている営業区域マップや資料を確認したり、カーナビや配車システムのエリア表示を活用しましょう。

それでも判断がつかない場合は、無線や電話で会社に確認することが大切です。

「知らなかった」場合でも処分されますか?

「知らなかった」という理由だけで処分を免れることはできません。

ただし、処分の重さについては、故意によるものかどうか、臨時・偶発的な違反であったかなどが考慮される場合があります。


日頃から自社の営業区域を正しく把握し、判断に迷った場合は自己判断せず、会社に確認することが処分リスクを避ける最善策です。

他の営業区域で働きたい場合はどうする?

他の営業区域で働きたい場合は、営業区域が異なるタクシー会社へ転職する必要があります。


タクシーの営業区域は会社単位で国の許可を受けて定められているため、ドライバー個人の希望だけで変更することはできません。

タクシードライバーは営業区域を正しく守ることが大切

タクシードライバーにとって、営業区域を正しく守ることはとても重要です。

営業区域は法律で定められており、場所を選ばず自由に営業できるわけではありません。

判断に迷ったときは「区域外×区域外」になっていないかを基準に確認しましょう。

乗車地または降車地のどちらか一方でも営業区域内であれば、法令違反にはなりません。

少しでも不安を感じた場合は、自己判断せず社内に確認するようにしましょう。

営業区域のルールを理解することが、安心して長く働くための第一歩となります。

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