レッカー車の運転にはけん引免許が必要?レッカー車の装備や必要な資格について

レッカー車を運転するのに、けん引免許は必要なのでしょうか? 本記事では、レッカー車を運転する際に必要な免許やけん引免許の要不要、レッカー車特有の装備と必要な資格について解説します。

レッカー車とは、事故や故障により自走不可能になった車両をけん引して移動させるための特殊車両です。

車が動かなくなったらレッカー車を呼ぶという認識はあれど、レッカー車を運転するために必要な免許やレッカー車がどんな車両なのよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。

今回は意外と知らないレッカー車の運転に必要な免許やレッカー車両の特徴、活躍する業界などについて紹介します。

これからレッカー車のドライバーを目指したい方や興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

ドライバージャーナルコラム編集部
配送・旅客ドライバー専門の求人サイトの「ドライバージャーナル」が運営する業界研究コラム「ドライバージャーナルコラム」の編集部です。ドライバー業界で働く際に必要な免許・資格から転職事情までありとあらゆる情報を発信しています。

目次

レッカー車を運転するのにけん引免許は不要である

レッカー車を運転するのにけん引免許は不要である

レッカー車は自走できなくなった車両をけん引して移動させます。この点からけん引免許が必要だと思っている方は多いのではないでしょうか。

実は、レッカー車を運転するためにけん引免許はなくても問題ありませんレッカー車の車両サイズにあった運転免許があれば運転可能です。

「自動車をけん引して移動させるのにけん引免許がいらいないの?」と疑問に思うかもしれませんが、これは法令によって例外的に認めらているのです。

事故車・故障車の場合はけん引免許はなくてOK

本来なら、けん引される車両の重量が750㎏以上の場合はけん引免許が必要になります。しかし、事故車・故障車を道路上から排除する際はその限りではありません。

根拠となっているのは、道路交通法の第59条自動車の牽引制限の1項及び2項です。

(自動車の牽引制限)
第五十九条 自動車の運転者は、牽引するための構造及び装置を有する自動車によつて牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引する場合を除き、他の車両を牽引してはならない。
ただし、故障その他の理由により自動車を牽引することがやむを得ない場合において、政令で定めるところにより当該自動車を牽引するときは、この限りでない。
2 自動車の運転者は、他の車両を牽引する場合においては、大型自動二輪車、普通自動二輪車又は小型特殊自動車によつて牽引するときは一台を超える車両を、その他の自動車によつて牽引するときは二台を超える車両を牽引してはならず、また、牽引する自動車の前端から牽引される車両の後端(牽引される車両が二台のときは二台目の車両の後端)までの長さが二十五メートルを超えることとなるときは、牽引をしてはならない。ただし、公安委員会が当該自動車について、道路を指定し、又は時間を限つて牽引の許可をしたときは、この限りでない。

出典:道路交通法|e-Gov法令検索

レッカーによる事故車・故障車の移動は、「故障その他の理由により自動車を牽引することがやむを得ない場合」にあたるため、けん引される車両が750㎏以上・中型車・大型車でも、けん引免許は不要です。

重量で厳密に線引きをしてしまうと、非常時にけん引免許の持ち主しかけん引ができなくなるため、若干曖昧になっているのです。

ただし、事故車や故障車を安全に道路上から排除し修理工場にもっていくことが前提なので、壊れていない車を積載車の代わりにレッカー車で移動させることは違法になります。

けん引免許が必要な場合

レッカー車の場合、法令上はけん引免許がなくても問題ないことが分かりましたが、それでもけん引免許が必要になる場合はあるのでしょうか。

けん引する車両が750㎏以上の場合(事故車・故障車の緊急排除以外)

事故や故障の場合は速やかに道路上から排除する観点から緊急時はなくてもよい、というだけで、本来はけん引する車両の総重量が750kgを超えている場合はけん引免許が必要になります。

プライベートで750㎏以上のキャンピングトレーラーをけん引する際や、業務でトレーラー車を運転する際にはけん引免許が必要になります。ロードサービス事業の他に車両輸送も行っている企業の場合、業務内容の変更や部署の異動によりトレーラー車の運転を任されるケースもあるため、けん引免許の取得が役立つ場面が多いでしょう。

企業が取得を求めている場合

法令上はなくても問題ありませんが、企業が必要なスキルとして取得を推奨している場合もあります。スキルがあることの証明や、レッカー車とは別にトレーラー車を運転する可能性があるなどが考えられます。

けん引は、全長が伸びることによる内輪差やブレーキの際の後方からの突き上げなど、対処に技術が必要な要素が多いのです。

レッカー車におけるけん引免許は、取得しなくても問題ないが、あれば安全な運行ができるという目安にはなる、という理解で問題ありません。

けん引免許はトラックドライバーのスキルアップ免許として有名です。取得しておくことでスキルの証明ができ、乗車できる車両が増えて仕事の幅が広がるため、車両輸送業界で働くのであれば取得を目指すとよいでしょう。

レッカー車を運転するために必要な免許とは?車両サイズごとに解説

レッカー車を運転するために必要な免許を車両サイズごとに解説

レッカー車を運転するには、レッカー車の車両サイズに合わせた運転免許があれば問題ないことが分かりました。

では、レッカー車の車両サイズはどのようなものがあるのでしょうか。

レッカー車の車両サイズはトラック同様、小型・中型・大型の3種類に分けられます。それぞれのサイズの目安と必要な免許について説明します。

小型レッカー車|普通免許・準中型免許

小型レッカー車は、主に軽自動車や普通自動車をけん引する際に用いられます。JAFや事故救援時に対応するロードサービス事業者が保有している車はだいたいこの小型レッカー車です。

寸法は、全長4,700mm以内、全幅1,700mm以内、全高2,000mm以内、最大積載量は3,000kg以内、車両総重量は5,000kg以下と決められています。

基本的には準中型免許が必要です。ただし、平成29年3月12日以前に取得済みの普通免許(5t限定準中型免許)、平成19年6月1日以前に取得した普通免許(8t限定中型免許)でも運転可能です。

現行の普通免許でも、最大積載量が2トン未満、車両総重量が3.5トン未満の車両であれば運転可能です。ただし、そのサイズの車両数は多くないため、準中型免許以上が必要だと考えておく方がよいでしょう。

企業によっては免許の取得支援制度が整っており、入社時点では普通免許だけでもOKという場合もあります。レッカー車を運転する仕事に就きたい方は、就業を希望する企業の条件を確認することをおすすめします。

中型レッカー車|準中型免許・中型免許

中型レッカー車は、主に小型トラック・中型トラック・大型車両をけん引する際に用いられます。

寸法は、全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内、最大積載量は6,500kg以内、車両総重量は11,000kg以下になります。

基本的には中型免許が必要です。ただし、中型レッカー車の中にも様々なサイズ・装備の選択肢があるため、準中型免許で運転できる車両もあります。

どちらの免許が必要か判断しづらい場合は、車検証に記載された車両総重量を確認して必要な免許を判別しましょう。

大型レッカー車|大型免許

大型レッカー車は、トラックやバスなど大型の車両をけん引する際に用いられます。

寸法は、全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内、最大積載量が6,500kg以上、車両総重量が11,000kg以上という特徴があります。

必要な免許は大型免許です。

大型レッカー車ではけん引する対象も大型車になるため、全長が伸び重量が増え内輪差も大きくなります。安全のために、けん引免許の取得も検討しておくとよいでしょう。

運転免許の他、大型車両は5トン以上になることが多いためクレーンを使う際に移動式クレーン免許が必要となります。

レッカー車を運転するために必要な運転免許の取得方法について解説

レッカー車を運転するために必要な運転免許の取得方法について解説

レッカー車を運転するために必要な運転免許の取得方法などについて解説します。

まずは、各種運転免許の重量制限について簡単にまとめます。
詳細は以下の表をご確認ください。

免許の種類車両総重量最大積載量乗車定員
普通免許3.5トン未満2トン未満10人以下
準中型免許5t限定
(平成29年3月11日までに普通免許を取得)
5トン未満3トン未満10人以下
準中型免許3.5トン以上
7.5トン未満
2トン以上
4.5トン未満
10人以下
中型免許8t限定
(平成19年6月1日までに普通免許を取得)
8トン未満5トン未満10人以下
中型免許7.5トン以上
11トン未満
4.5トン以上
6.5トン未満
29人以下
大型免許11トン以上6.5トン以上30人以上
※準中型免許5t限定と中型免許8t限定は新規取得できません

どの免許でどのサイズの車両が運転できるのかについては、車検証に記載された車両総重量によって判断できます。レッカー車の運転がしたいと考えており、事前に免許を取得しておきたい場合は、準中型免許以上の取得を目指すとよいでしょう。

運転免許を取得する方法は大きく分けて2つあります。

  • 指定の自動車教習所を卒業し、運転免許センターもしくは運転免許試験場で試験に合格する
  • 運転免許試験場で「一発試験」を受け、合格する

それぞれの方法と費用について解説します。

指定の自動車教習所を卒業して試験に合格する場合

自動車教習所を卒業または合宿に参加して試験に合格する場合の期間と費用の目安については以下の表をご確認ください。

免許の種類年齢教習所の場合合宿の場合手数料
普通免許18歳以上<2か月〜3か月>
約30万円~40万円
<14日~16日>
約25万円~35万円
3,800円
準中型免許18歳以上<2か月〜3か月>
約20万円~45万円
<6日~10日>
約17万円~40万円
3,600円
中型免許20歳以上
(普通免許等保有2年以上)
<1か月~2か月>
約15万円~35万円
<3日~11日>
約12万円~35万円
3,600円
大型免許21歳以上
(普通免許等保有3年以上)
<1か月~2か月>
約25万円~45万円
<3日~11日>
約23万円〜45万円
3,600円

期間や費用は、お住まいの地域・現在所持している免許・季節・頻度・トランスミッションによって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認するようにしましょう。

指定の自動車教習所を卒業することで技能試験が免除されます。普通免許と準中型免許は学科試験を受けて合格したら、学科試験がない中型・大型免許は卒業後すぐに免許を取得できます。

2022年5月13日の道路交通法改正により、受験資格特例教習を追加で受けることで、19歳以上(普通免許保有1年)でも中型免許・大型免許の試験を受験できるようになりました。
※道路交通法第96条:2022年5月13日改正 

一発試験に合格する場合

一発試験で免許を取得するまでの流れと大まかな費用についてまとめました。

STEP1|適性試験をうける

視力・深視力・色彩識別能力・聴力・運動能力などの基本的な検査を受ける

STEP2|仮免許学科試験・技能試験をうけて合格する

仮免許を持っていない場合は、学科試験と技能試験を受けて取得する
仮免許の有効期限は3か月なので、3か月以内に試験に受からなければならない
※学科試験がない免許は技能試験のみ

STEP3|5日以上の路上練習を行い「路上練習申告書」を作成する

免許取得から3年以上たった人を助手席に乗せて、5日以上の路上練習を行う

STEP4|本免許学科試験・技能試験を受けて合格する

技能試験70点以上、学科試験90点以上で合格となる
不合格の場合は再度受験が可能だが、その都度受験費用がかかる
※学科試験がない免許は技能試験のみ

STEP5|取得時講習を受けたら免許が交付される

講習後に運転免許交付の手続きをする

一発試験で免許を取得する場合、前提となる免許や取得する免許の種類によりますが、取得時講習や試験料を含めると、トータルで26,000円~37,000円程度の費用がかかります。一発試験を受けるたびに試験料や車両使用料などの追加費用が発生するため、合格に至るまでの総費用は増える可能性が高いです。

一発試験は難易度が高いため、基本的にはおすすめしませんが、短期間でかつ費用を抑えて免許を取得できる点はメリットです。運転に自信のある方や、現役ドライバーで練習できる環境がある方であれば検討してみてもよいでしょう。

スキルアップ|けん引免許の取得方法ついて解説

スキルアップ|けん引免許の取得方法ついて解説

これまで説明してきたように、レッカー車を運転するためにけん引免許はなくても問題ありません。しかし、取得しておいた方が安心であること、事故車や故障車以外のけん引もできるようになるため対応の幅が広がるのは確かでしょう。

スキルアップのために取得したい、就業先の企業から取得を求められたという方に向けて、けん引免許の取得方法や費用について解説します。

けん引免許を取得する方法はその他の運転免許同様、大きく分けて2つあります。

  • 指定の自動車教習所を卒業する
  • 運転免許試験場で「一発試験」を受け、合格する

それぞれの方法と費用について説明します。

指定の自動車教習所を卒業する

自動車教習所を卒業または合宿に参加して試験に合格する場合の期間と費用の目安は以下の通りです。

年齢教習所合宿手数料
18歳以上<最短5日~>
約12万円~18万円
<5泊6日>
約15万円~22万円
3,800円

期間や費用は、お住まいの地域や季節、同時に取得する免許の有無によって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認しましょう。

けん引免許は学科試験がなく、指定の自動車教習所を卒業すれば技能試験が免除されるため、自動車教習所を卒業したらすぐに免許を取得することができます。

一発試験に合格する場合

一発試験でけん引免許を取得するまでの流れと大まかな費用の目安については以下の通りです。

STEP1|適性試験をうける

視力・深視力・色彩識別能力・聴力・運動能力などの基本的な検査を受ける

STEP2|本免技能試験をうけて合格する

技能試験70点以上で合格となる
不合格の場合は再度受験が可能だが、その都度受験費用がかかる

STEP3|免許の交付

運転免許交付の手続きをする(取得時講習はない)

運転免許センターで一発試験を受ける場合は、1回6,100円程度となります。その他、練習場所や練習用の車両を借りる際にも、別途費用がかかります。

けん引免許の一発試験は難易度が高く、人によっては6回以上連続で不合格になることもあるようです。運転に自信のある方、現役ドライバーで練習できる環境がある方であれば、検討してみるのもよいでしょう。


けん引免許を取得できれば、トラックドライバーやトレーラードライバーに転職することも可能です。スキルアップのためにけん引免許を取得したい方は、それらの職種を検索してみるのもいいかもしれません。

レッカー車でよく見る代表的な装備について解説

レッカー車でよく見る代表的な装備について解説

レッカー車は、通常のトラックやクレーンだけが付いているユニック車などと違い、事故車や故障車を安全にけん引するために必要な様々な専用装備がついています。

代表的なものとして「アンダーリフト」「ウインチブーム」「クレーン」の3つが挙げられます。
ここから、以上3つの装備について紹介します。

アンダーリフト

レッカー車のアンダーリフト

アンダーリフトは、レッカー車の後部に取り付けられたT字型の装置で、専用のレバーによって昇降・伸縮させることができます。

けん引する車両の前輪または後輪の下に潜り込ませて持ち上げ、器具でタイヤを固定することで、車両の一部を地面から浮かせた状態でのけん引が可能です。

アンダーリフトは、特に車両のタイヤを吊り上げるために設計されており、これにより、車両の損傷を最小限に抑えながら安全に移動させることができます。

ウインチブーム

レッカー車のウインチブーム

ウインチブームは、レッカー車の後部に設置されたアーム状の構造で、車両を吊り上げたり引っ張ったりするために使用されます。「ウインチ」とはワイヤーを巻き上げる装置で、「ブーム」とはアームのような棒状になっている部分を指しています。

ウインチブームは一般的に伸縮機能を備えており、作業現場の状況に応じて長さを調整できます。また、上下や角度の調整が可能なタイプも多く、狭いスペースや複雑な現場でも柔軟な対応が可能です。

ウインチブームの先端にはフックが1本から2本ついており、車両にフックをかけて固定しワイヤーを巻き上げることで、車両を引き起こしたり、持ち上げたりできます。横転した車両の引き起こしや障害物の撤去によく使われており、雪でスリップした車両の対処にも使われます。

ウインチブームには「インテグレート型」(アンダーリフトと一体化したもの)や「インデペンデント型」(独立型)などの種類があります。最近ではインテグレート型が多いようですが、インデペンデント型はブームの可動範囲の自由度が高い傾向にあるため、用途や作業環境に応じて選ばれています。

ウインチを操作するためは、労働安全衛生法に基づいて、作業に対応した講習の受講が必要になります。

クレーン

レッカー車のクレーン

レッカー車のクレーンは、車両を吊り上げたり引っ張ったりするために使用されます。ウインチブームと同じく棒状の「ブーム」を有した装置で、先端にはフックが備えられています。

ウインチブームと同じような使い方ができますが、大きな違いとしては、クレーンは垂直方向の吊り上げ・持ち上げる動作に特化している点でしょう。

ブーム部分は伸縮可能で、固定式と回転式があり、用途に応じて選ばれます。回転式クレーンは360度回転可能なものもあり、高さに制限がない場所であればあらゆるシーンで活躍できます。

ウインチと同様の動きを求められることもあり、他のクレーンではあまり行わない横引き(吊り上げずに地面を引きずって移動させる)動作をすることもあります。

クレーンを操作するためには、労働安全衛生法に基づいて、作業に対応した免許や講習の受講が必要になります。

レッカー車の装備を使う際に受講が必要な講習・必要な免許について解説

レッカー車の装備を使う際に受講が必要な講習・必要な免許について解説

レッカー車には様々な専用装備がついていることを説明してきました。

前述の通り、ウィンチやクレーンなどを操作する場合、労働安全衛生法に基づき、技能講習・特別教育の受講、免許の取得が義務付けられています。

基本的に入社後に会社の指示で受講・受験することが多いので、事前に取得しておく必要はほとんどありません。求人の応募資格に必須の記載がなければそのように考えて問題ないでしょう。

それぞれの操作に必要な免許の取得、技能講習・特別教育の受講について解説します。

巻上げ機運転特別教育|ウインチ

動力で駆動される巻上げ機(ウインチ)の操作をするために必要な教習です。

学科実技費用試験の有無
巻上げ機運転特別教育6時間4時間1万円~2万円なし
※費用はお住まいの地域によって変動あり

特別教育の場合は修了試験はなく、受講が終わった時点で修了証を受け取ることができます。

特別教育は国家資格ではありませんが、修了証が交付されるため、実質的には資格のように扱われることもあります。

移動式クレーン関連のいづれか|クレーン

クレーンに関する資格や免許は3種類あり、吊り上げるものの重量によって必要な資格・免許が変動します。

吊り上げ荷重学科実技費用試験の有無
移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育1トン未満9時間4時間1.2万円~2万円なし
小型移動式クレーン運転技能講習1トン以上5トン未満13時間7時間2.5万円~6万円修了試験
(学科・実技)
移動式クレーン運転士免許5トン以上16時間9時間13万円~16万円実技修了試験
学科試験
※既に所持している資格やお住まいの地域によって時間・費用に変動あり

小型移動式クレーン運転技能講習と移動式クレーン運転士免許は労働安全衛生法に基づく国家資格です。特別教育は国家資格ではありませんが、修了証が交付されるため、実質的には資格のように扱われることもあります。

普通車や大き目の軽自動車の吊り上げを想定するのであれば、小型移動式クレーン運転技能講習の受講が適当でしょう。

また、クレーンを使うためには上記3つのいずれかだけではなく、後述の玉掛に関する特別教育または技能講習も必要です。

玉掛特別教育または技能講習|クレーン

クレーンによる玉掛け作業(クレーンのフックに荷を掛けたり外したりする作業)を行う際に必要な教習で、吊り上げるものの重量によって2種類に分かれています。

吊り上げ荷重学科実技費用試験の有無
玉掛特別教育1トン未満5時間4時間1.5万円~2万円なし
玉掛技能講習1トン以上12時間7時間2万円~4万円修了試験
(学科・実技)
※既に所持している資格やお住まいの地域によって時間・費用に変動あり

玉掛技能講習は労働安全衛生法に基づく国家資格です。特別教育は国家資格ではありませんが、修了証が交付されるため、実質的には資格のように扱われることもあります。

普通車や大き目の軽自動車の吊り上げを想定するのであれば、玉掛技能講習の受講が適当でしょう。


事前に取得しておく必要はほとんどありませんが、ウインチやクレーンを使う場合は技能講習・特別教育の受講が必要である、と覚えておくとよいでしょう。

レッカー車が活躍するのは主にロードサービス業界

レッカー車が活躍するのは主にロードサービス業界

レッカー車は主に日本自動車連盟(JAF)のロードサービス隊、ロードサービス事業者、自動車工場、車両移動業者などが所有しています。その他、公共機関である警察・消防・自衛隊などもレッカー車を所有しています。

活躍する業界は主にロードサービス業界です。

ここからは、ロードサービスの仕事内容と平均年収について簡単に紹介します。

ロードサービスの仕事内容

ロードサービスという大きなくくりだと、以下のような業務が例として挙げられます。

  • 事故や故障でのけん引
  • バッテリー上がり
  • パンク
  • キー閉じこみ
  • 燃料切れ
  • 落輪
  • 雪道でのスタック
  • 異音や異臭トラブル対応

事故車や故障車のレッカー移動がメインというより、様々な車両トラブルに対して現場に駆け付け応急処置を行う、どちらかというと整備よりの業務が多いと言えます。

また、企業によっては24時間ロードサービス対応しており、夜勤がある場合もあります。

運転だけしたい、という方には向いていないかもしれませんが、車両のトラブル対処からレッカー車の運転まで様々な技術を身に着けられます。手に職を付けたい、困っている人を助けたい、という方に向いている業界ではないでしょうか。

レッカー車の運転だけしたい場合、あまり多くありませんが運転だけの求人もあるので、求人サイトなどを地道に探す必要があるでしょう。

ロードサービスの平均年収

とある大手転職サイトでは、JAFのロードサービス職の平均年収は平均480万円程度(入社2~3年目の若手社員の場合は約365万円~435万円程度、経験4~5年の社員の場合は約470万円~500万円程度)となっていました。

JAFだけでなくロードサービス業界として考えてみるとどうでしょうか。

求人ボックス給料ナビによれば、ロードサービスの仕事の平均年収は約372万円でした。(2025年1月現在)

ただし、全体の給与幅としては248万円〜585万円と比較的広いため、勤務先や経験・求められるスキルによっても大きな差があると考えられます。また、募集時の給与は初任給で書かれることも多く、ぱっと見の金額が低くなっている場合もあるでしょう。

ロードサービス業界への転職を考えている方は、企業の状況や地域によっても変動するため、募集内容や勤続年数による収入例などを確認するとよいでしょう。

レッカー車に関するよくある質問

レッカー車に関するよくある質問についてまとめました。

大型レッカー車を運転する際に大型特殊免許って必要なの? 

大型特殊免許は必要ない

大型特殊免許を取得すると、ラフタークレーンやブルドーザーなどを公道で運転することができるようになります。
ラフタークレーンは土木・建築業界でよく使われるクレーンであり、ロードサービス業界で使用することはありません。どちらかといえばラフタークレーンを輸送する側でしょう。

レッカー車と積載車は何が違うの?

レッカー車はけん引、積載車は積み込み

積載車はその名の通り車両を荷台に積載して運搬する車両で、キャリアカーと呼ばれることもあります。
ロードサービス業界では、エンジンかからない車両、けん引の難しい4WD車、大破により自走できない車両などを移動させる際に活躍します。

ロードサービス事業ってJAF以外だとどういうこところが行っているの?

ロードサービス専門業者、車両輸送業者、自動車整備工場、販売業者など

JAFと同じようなロードサービス専門の業者はもちろん、車両輸送を専門にしている業者、自動車板金工場や車検工場、販売業者などがロードサービス事業を行っています。

違法駐車の車両をレッカー移動をすることってあるの? 

ほとんどないと思ってよい

公道での違法駐車の場合、「道路交通法」に違反していれば、警察または警察が依頼した業者がレッカー移動する可能性があります。

私有地への無断駐車の場合は基本的にレッカー移動できません。民法には、権利を侵害するような状態が生じていても、裁判所を通さずに自力で侵害を排除することはできないという「自力救済禁止の原則」があるためです。警察も介入できないことが多いため、ロードサービス業者へ依頼が来る、または依頼を受けることは基本的にないでしょう。

まとめ

レッカー車の運転に必要な免許やレッカー車両の特徴、活躍する業界などについて紹介してきました。

  • 事故車・故障車を移動させる場合、けん引免許は不要である
  • レッカー車を運転するためには車両サイズに合った運転免許があればよい
  • スキルアップのためにけん引免許を取得するのはあり
  • レッカー車の専用装備を使いこなすことで事故車・故障車の安全なけん引ができる
  • レッカー車の装備であるウインチやクレーンを使用する際は教習の受講や免許の取得が必要になる
    (入社後に会社負担で受講・取得する場合が多い)
  • レッカー車が活躍する業界はロードサービス業界である

以上が本記事のまとめになります。

企業によっては資格取得支援制度・研修制度を設けており、普通免許のみ・未経験から挑戦できる仕事もあります。レッカー車を運転したい方、ロードサービス業界に興味のある方は調べてみるとよいでしょう。

ドライバー求人に特化したドライバージャーナルでは、ロードサービス業界の求人も多数掲載しています。細かい検索もできるので、レッカー車を運転したい方、ロードサービス業界への転職を考えてる方はぜひチェックしてみてください。

ドライバーのための求人検索サイト

効率よく魅力的なドライバー案件を見つけたい場合はドライバージャーナルがおすすめです。

3万件近い求人募集があり、勤務地や職種、免許、車の形状などの基本検索はもちろん、「未経験歓迎」「資格取得サポート」「給与」「休日」などの勤務条件からもお仕事探しが可能です。

あなたの希望に合った条件で効率良く仕事を探せますので、ぜひご活用ください。

参考文献
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次