
タンクローリーの運転に必要な免許や資格は?車両の種類や仕事内容についても解説

タンクローリー車は、石油やガス、セメントなどの液体や気体、粉体といった「形が定まらないもの」を運ぶために使用される特殊車両です。
タンクローリーを運転するためには、どのような免許が必要になるのでしょうか。
タンクローリーを運転するために必要な免許・資格は、トラックの車両の大きさ、タンクの積載量、運ぶものにより変わってきます。この記事では、タンクローリーを運転するために必要な免許や資格、タンクローリーの車両サイズや種類、仕事内容や必要なスキルなどについて詳しく解説します。
タンクローリーのドライバーに転職を考えている方、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

ドライバージャーナルコラム編集部
配送・旅客ドライバー専門の求人サイトの「ドライバージャーナル」が運営する業界研究コラム「ドライバージャーナルコラム」の編集部です。ドライバー業界で働く際に必要な免許・資格から転職事情までありとあらゆる情報を発信しています。
タンクローリーの運転に必要な免許・資格について

タンクローリーを安全かつ適切に運転するには、運転免許だけでなく、運ぶ物や状況に応じた特別な資格が求められる場合があります。特定の免許や資格は、荷物の安全性を確保するだけでなく、法的な要件を満たすためにも重要です。
ここでは、タンクローリーを運転するうえで「必ず取得が必要な免許」と「取得しておくと便利な免許・資格」について、それぞれの概要、取得方法、費用を詳しく解説します。
以下5つの免許・資格について詳しくみていきましょう。
- 運転免許(普通・準中型・中型・大型)|必ず必要
- 牽引免許(けん引免許)|タンクトレーラーの場合は必要
- 危険物取扱者|積載物に応じて必要
- 高圧ガス移動監視者|積載物に応じて必要
- 毒物劇物取扱責任者|状況による
運転免許(普通・準中型・中型・大型)|必ず必要
タンクローリーを運転する際に必要な運転免許の種類は、運転する車両のサイズや積載量によって変わってきます。
運転免許の一覧と免許ごとの重量制限について以下の表にまとめました。
免許の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
普通免許 | 3.5トン未満 | 2トン未満 | 10人以下 |
準中型免許5t限定 (平成29年3月11日までに普通免許を取得) | 5トン未満 | 3トン未満 | 10人以下 |
準中型免許 | 3.5トン以上 7.5トン未満 | 2トン以上 4.5トン未満 | 10人以下 |
中型免許8t限定 (平成19年6月1日までに普通免許を取得) | 8トン未満 | 5トン未満 | 10人以下 |
中型免許 | 7.5トン以上 11トン未満 | 4.5トン以上 6.5トン未満 | 29人以下 |
大型免許 | 11トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
免許ごとに運転できる車両の最大積載量と車両総重量が定められているため、運転したい車両のサイズや積載量に合わせて必要な免許を取得しましょう。
公益社団法人全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2024」によれば、 運送業界で用いられている車両の46%は大型トラックです。その他の免許で運転できる車両もありますが大型ほど多くないため、選択肢を広くするのであれば大型免許の取得を目指すとよいでしょう。
「運転免許の取得方法と費用」について詳しく見る
運転免許を取得する方法は大きく分けて2つあります。
- 指定の自動車教習所を卒業し、運転免許センターもしくは運転免許試験場で試験に合格する
- 運転免許試験場で「一発試験」を受け、合格する
それぞれの方法と費用について説明します。
教習所を卒業して試験に合格する場合
自動車教習所を卒業または合宿に参加して試験に合格する場合の期間と費用についてまとめました。
免許の種類 | 年齢 | 教習所の場合 | 合宿の場合 | 手数料 |
普通免許 | 18歳以上 | <2か月〜3か月> 約30万円~40万円 | <14日~16日> 約25万円~35万円 | 3,800円 |
準中型免許 | 18歳以上 | <2か月〜3か月> 約20万円~45万円 | <6日~10日> 約17万円~40万円 | 3,600円 |
中型免許 | 20歳以上 (普通免許等保有2年以上) | <1か月~2か月> 約15万円~35万円 | <3日~11日> 約12万円~35万円 | 3,600円 |
大型免許 | 21歳以上 (普通免許等保有3年以上) | <1か月~2か月> 約25万円~45万円 | <3日~11日> 約23万円〜45万円 | 3,600円 |
期間や費用は、お住まいの地域・現在所持している免許・季節・頻度・トランスミッションによって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認するようにしましょう。
指定の自動車教習所を卒業することで技能試験が免除されます。学科試験がある免許は試験を受け、学科試験がない中型・大型免許は卒業後すぐに免許を取得できます。
2022年5月13日の道路交通法改正により、受験資格特例教習を追加で受けることで、19歳以上(普通免許保有1年)でも中型免許・大型免許の試験を受験できるようになりました。
※道路交通法第96条:2022年5月13日改正
一発試験の場合
一発試験で免許を取得するまでの流れと大まかな費用についてまとめました。
視力・深視力・色彩識別能力・聴力・運動能力などの基本的な検査を受ける
仮免許を持っていない場合は、学科試験と技能試験を受けて取得する
仮免許の有効期限は3か月なので、3か月以内に試験に受からなければならない
※学科試験がない免許は技能試験のみ
免許取得から3年以上たった人を助手席に乗せて、5日以上の路上練習を行う
技能試験70点以上、学科試験90点以上で合格となる
不合格の場合は再度受験が可能だが、その都度受験費用がかかる
※学科試験がない免許は技能試験のみ
講習後に運転免許交付の手続きをする
一発試験で免許を取得する場合、前提となる免許や取得する免許の種類によりますが、取得時講習や試験料を含めると、トータルで26,000円~37,000円程度の費用がかかります。一発試験を受けるたびに試験料や車両使用料などの追加費用が発生するため、合格に至るまでの総費用は増える可能性が高いです。
一発試験は難易度が高く、合格率は普通免許で10%以下、中型免許や大型免許で30%前後となっています。この合格率は、個人が試験に挑戦して合格する確率ではなく、1回の試験で合格する人数の割合です。
基本的にはお勧めしませんが、短期間でかつ費用を抑えて免許を取得できる点はメリットです。運転に自信のある方や、現役ドライバーで練習できる環境がある方であれば検討してみてもよいでしょう。
牽引免許(けん引免許)|タンクトレーラーの場合は必要
けん引免許は、けん引装置を持つ車両で車両総重量が750㎏を超えるものをけん引する際に必要な運転免許です。
運送業界においては、車両(トレーラーヘッド)と荷箱(トレーラー)が分かれている、いわゆるトレーラー車を運転する際に必要です。トレーラー車は車両が長くなることが多く、大型タンクローリーの場合は全長9m〜11m程度、長いものだと14m〜16m程度になります。
運転技術が必要になるため、ドライバーのキャリアアップ免許の代表格として知られています。
ただし、けん引免許単体では車両の運転はできない点に注意しましょう。一般的に運送業界で用いられるトレーラーヘッドのほとんどは大型車のため、前提として「大型免許」が必要となることがほとんどです。
「けん引免許の取得方法と費用」について詳しく見る
けん引免許を取得する方法は、大きく分けて2つあります。
- 指定の自動車教習所を卒業し、運転免許センターもしくは運転免許試験場で試験に合格する
- 運転免許試験場で「一発試験」を受け、合格する
それぞれの方法と費用について説明します。
教習所を卒業して試験に合格する場合
自動車教習所を卒業または合宿に参加して試験に合格する場合の期間と費用についてまとめました。
年齢 | 教習所 | 合宿 | 手数料 |
18歳以上 | <最短5日~> 約12万円~18万円 | <5泊6日> 約15万円~22万円 | 3,800円 |
期間や費用は、お住まいの地域や季節、同時に取得する免許の有無によって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認しましょう。
けん引免許だけ取得したい人もいれば、けん引免許と一緒に大型免許・大型特殊免許を取得したい人もいるでしょう。同時に複数免許の取得を希望する場合は、時間・費用ともに上記の表よりかかることに注意してください。
けん引免許は学科試験がなく、指定の自動車教習所を卒業することで技能試験が免除されるため、卒業したらすぐに免許を取得することができます。
一発試験の場合
一発試験で免許を取得するまでの流れと大まかな費用について簡単にまとめました。
視力・深視力・色彩識別能力・聴力・運動能力などの基本的な検査を受ける
技能試験70点以上で合格となる
不合格の場合は再度受験が可能だが、その都度受験費用がかかる
運転免許交付の手続きをする(取得時講習はない)
運転免許センターで一発試験を受ける場合は1回6,100円程度となります。
一発試験は難易度が高く、けん引免許の合格率は20%前後となります。この合格率は、個人が試験に挑戦して合格する確率ではなく、1回の試験で合格する人数の割合です。
現役ドライバーで練習できる環境があるのであれば、検討してみるのもよいでしょう。
危険物取扱者|積載物に応じて必要
危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物の取り扱い・取り扱いの立ち合いに必要な国家資格です。
「甲種」「乙種」「丙種」の3種類に分けられ、甲種・乙種は取扱作業及びその立ち会い、丙種は乙種第4類危険物のうち指定された危険物に限り取り扱うことができます。
タンクローリーを運転する際、その積載物に応じて資格を取得する必要があります。
甲種 | すべての種類の危険物 |
乙種 | 第1類 | 酸化性固体 | 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類等 |
第2類 | 可燃性固体 | 硫化リン、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム等 | |
第3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質 | カリウム、アルキルアルミニウム、黄りん等 | |
第4類 | 引火性液体 | ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類等 | |
第5類 | 自己反応性物質 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物等 | |
第6類 | 酸化性液体 | 過塩素酸、過酸化水素、硝酸等 |
丙種 | 引火性液体 |
積載物は企業によって異なるため一概には言えませんが、まずは乙種4類(通称乙4)を取得しておくとよいでしょう。
この乙4は、ガソリン・灯油・軽油・重油・アルコール類などの引火性液体を運搬するために必要な資格です。タンクローリー車はガソリンや灯油などの石油製品を運ぶことが多いため、取得しておくと業務の幅が広がります。
また、酸化性液体を運搬することも多いので、次点で乙種6類も取得しておくとよいでしょう。
「危険物取扱者の取得方法と費用」について詳しく見る
取得方法と費用について説明します。
取得方法
危険物取扱者試験は「一般社団法人 消防試験研修センター」の中央試験センター(東京)及び道府県支部で受けることができます。現住所・勤務地にかかわらず希望する都道府県において受験可能です。
試験日程、受付期間は各支部ごとに異なりますが、消防試験研修センターのホームページで「試験日程一覧」を確認できます。
乙種と丙種はどなたでも受験可能です。甲種は条件がありますので、取得を考えている方は「一般社団法人 消防試験研修センター」のホームページを確認してください。
乙種に関しては複数受験が可能で、すでに乙種免状を一つの類でも取得している場合は、「危険物に関する法令」と「基礎的な物理化学」の受験科目が免除されます。
受験費用
受験費用は以下の通りとなります。
- 甲種7,200円
- 乙種5,300円
- 丙種4,200円
詳細は「一般社団法人 消防試験研修センター」のホームページを確認してください。
高圧ガス移動監視者|積載物に応じて必要
高圧ガス移動監視者は、規定量以上の高圧ガスを積み、安全に運搬するために必要な国家資格です。
この資格は、高圧ガス保安法に基づいており、タンクローリーで危険な高圧ガス(可燃性ガス、酸素、毒性ガス、LPガスなど)を移動させる際には有資格者の監視が義務付けられています。
監視が必要な高圧ガスの種類と数量は以下の通りです。
- 圧縮ガス
-
容積300㎥以上の可燃性ガス・酸素、容積100㎥以上の毒性ガス
- 液化ガス
-
・質量3,000kg以上の可燃性ガス・LPガス・酸素
・質量1,000kg以上の毒性ガス
・圧縮水素スタンドの液化水素の貯槽に充填する液化水素 - 特殊高圧ガス
-
数量に関わらず、有資格者による監視が必要
ガスやエネルギーの需要が高まる中、タンクローリーによるガス・エネルギー運搬は安定した需要があります。資格を持つことで、給与や待遇面での優遇も期待できるため、キャリアの選択肢が広がることでしょう。
「高圧ガス移動監視者の取得方法と費用」について詳しく見る
高圧ガス移動監視者の資格は、「高圧ガス保安協会」 が行っている合計14時間程度の講習を受け、修了試験に合格することで取得できます。
修了試験の合格率は近年89.8%と高く、比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
受講資格に制限はなく、講習は全国(オンライン受講)で年に4回開催しています。修了試験はオンラインでは受けられず会場にて試験を受ける必要があり、全国15ヶ所程度で実施予定です。
講習の種類 | 移動監視できる高圧ガス | 受講検定料 |
移動監視者 | 全ての高圧ガス | 15,800円 |
移動監視者(液化石油ガス) | 液化石油ガス | 14,900円 |
実施スケジュールや会場に関しては「高圧ガス保安協会」 のホームページを確認してください。
毒物劇物取扱責任者|状況による
毒物劇物取扱責任者は、厚生労働省が認定する国家資格で、毒物や劇物を製造・販売・取り扱う事業者は必ず設置しなければなりません。
運送業者は、毒物劇物の運搬を行う際に毒物劇物取扱者の資格を持つ責任者を配置する義務がありますが、ドライバー自身が毒物劇物取扱責任者の資格を持っている必要はありません。
企業に1人責任者がいればよいので、責任者になりたい方・前任の退職で責任者にならなければならない方、有利な条件で転職したい方、知識があることを証明したい方などは取得を検討してみるとよいでしょう。
「毒物劇物取扱責任者の取得方法と費用」について詳しく見る
毒物劇物取扱責任者は、年に1回、都道府県ごとに実施される毒物劇物取扱者試験に合格し、合格後に都道府県に申請を行うことで、正式な資格を取得できます。ただし、薬剤師免許や工業高校または同等以上の学校で応用化学の学科を修了している場合は試験を受けずに取得可能です。
基本的にはどなたでも受験可能ですが、最低条件として、18歳以上であることや薬物中毒者でないことがもとめられます。
試験の実施日や内容、難易度、受験料などは都道府県によって異なるため注意が必要です。ただ、住所に関わらずどの都道府県でも受験可能なので、難易度が優しいところを選ぶのも合格率をあげる一つの手段と言えます。
試験費用は都道府県により異なり、10,000円〜13,000円が相場です。
タンクローリーの車両サイズについて

タンクローリーのサイズは他のトラックと同様、小型・中型・大型の3種類に分けらます。
小型タンクローリー|普通免許・準中型免許

小型タンクローリーは、タンクの積載容量が2kl~4kl、車両総重量は5トン未満の車両です。
基本的には準中型免許が必要になる場合がほとんどですが、軽トラックに小型積載式タンクを載せるタイプで最大積載量2トン未満、車両総重量3.5トン未満の車両であれば普通免許でも運転が可能です。
小型タンクローリーの主な用途は、住宅街への灯油や液油の運搬です。狭い住宅街の道路でも通行できるため、特に冬季の灯油配送でよく使用されています。
用途が限られており需要も多くないのが現状です。
中型タンクローリー|準中型免許・中型免許

中型タンクローリーは、メーカーや用途によって異なりますが、タンク容量は3kl~8kl、全長は5m~8mと幅広い仕様となります。
中型タンクローリーの主な用途は、小型タンクローリーと同様、重油や灯油・軽油移送の需要が非常に大きく、建設現場で使われる重機への給油車として使われることもあるようです。その他、飲食店や小売店などへの食用油・牛乳などの配送、小麦粉や飼料などの粉粒体の配送の際にも用いられています。
大型タンクローリー|大型免許

私たちの生活の中で最も目に入りやすいのが、この大型のタンクローリーでしょう。
大型タンクローリーの積載容量は12kl~20klが一般的です。タンク容量が20klの場合、全長は11m程度になります。
さらに大型サイズになるとタンク部分がトレーラー車両となることもあり、タンクトレーラーの場合は最大で30klまで積載できる車両もあるようです。
用途は多岐にわたりますが、イメージしやすいのはガソリンスタンド間のガソリン輸送でしょう。その他、長距離輸送で使用されることが多く、例えば工場間の液体物・粉粒体の輸送に使用されることもあります。
公益社団法人全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2024」によれば、 運送業界で用いられている車両の46%を大型トラックが占めています。タンクローリーも同様に、車両数・需要ともに大型が多い傾向にあります。
タンクローリーの種類・運搬物について

タンクローリー車は液体や気体、粉体を運ぶ際に用いられる特殊車両で、トラックの荷台には円筒状のタンクが搭載されています。タンクの内部はいくつかの部屋に分かれており、異なる種類の液体や気体を積載することも可能です。
種類としては以下の3つに分けられます。
- 非危険物タンクローリー
- 危険物タンクローリー
- 高圧ガスタンクローリー
運搬物に合わせたタンクの種類と運搬物にあわせた資格を紹介します。
非危険物タンクローリー

危険物ではないものを運搬するタンクローリーを、非危険物タンクローリーと呼びます。主に、食品・飲料・乳製品・セメントなどの運搬に使用されます。
非危険物という名称の通り、専門知識がなくても大丈夫なので、運転免許(車両によってはけん引免許)のみで運転が可能です。
非危険物タンクローリーのうち、粉粒体を運搬する車両を粉粒体運搬車ローリーと呼ぶこともあります。粉粒体とは主に、石灰などの鉱産物や樹脂ペレット等の工業用材料、小麦粉やグラニュー糖などの食品用粉末や配合飼料などです。
非危険物タンクローリーのタンクには、腐食や傷に強いステンレス製が用いられることが一般的です。
危険物タンクローリー

危険物タンクローリーは、消防法で指定された危険物、毒物及び劇物取締法で指定された毒物及び劇物を運搬するタンクローリーです。 主に、ガソリン・灯油・酸化性液体などの危険物、ニトロベンゼンや硫酸などの化学物質(毒物・劇物)の運搬に使用されます。
運転する際は、運搬物に対応した危険物取扱者の免状が必要になります。毒物・劇物を運搬する際は、事業所に一人毒物劇物取扱責任者がいればドライバーが資格を所有していなくても問題ありません。
危険物タンクローリーは、危険物や毒物・劇物を運搬していることを明示するため、「危」または「毒」の標識を表示する必要があります。
- 「危」マーク:引火性のある物質
- 「毒」マーク:塩素や硫酸などの毒物及び劇物
運搬時の安全性を確保するため、タンクの材質は化学変化が起きにくい鋼やステンレスの鉄系材料が用いられています。薬品によっては腐食防止の樹脂加工が施されているものもあります。
高圧ガスタンクローリー

高圧ガスタンクローリーは、その名のとおり、高圧状態で封入されたガスを運搬するタンクローリーです。高圧ガスとは、可燃性ガスやプロパンガス、液体窒素などのことを言います。
運転する際は、高圧ガス移動監視者の資格が必要です。
高圧ガスタンクローリーも危険物タンクローリー同様に積載物の表示が必要で、高圧ガスの場合は省略せず「高圧ガス」という標識になります。
タンクは運搬時の安全性を確保するため、内部の気圧が変化しないように真円形状で、高張力鋼板や腐食に強いステンレスなどの素材が用いられています。
タンクローリードライバーの仕事について

タンクローリードライバーの仕事内容の特徴や給与、求められるスキルについて解説します。
仕事の特徴
タンクローリードライバーの仕事は、タンク内にガソリンや高圧ガスなどを積載して指定の場所へ搬入することです。積み込み・運搬・荷下ろしといった基本的な流れは、一般のトラックドライバーと同様になります。
一般的なトラックドライバーと比較した際に、特徴・メリットと言える部分について紹介します。
- 長距離運転の機会が少ない
-
タンクローリーを使った運搬は地場での運搬が多く、遠くても中距離程度になることが一般的です。食品や薬品などの鮮度的な意味で当日中の配送が多いことが要因のひとつと言えるでしょう。
ただし、前日の積み置きもできないため、積み込み時間を考慮して出社は早朝になりがちです。
- 手積み手降ろしがないため体力的に楽
-
タンクローリーで運搬する液体や気体、粉粒体の荷降ろしは、納品先のタンクにホースなどをつないで行います。そのため手積み手降ろしがほぼなく、一般的なトラックドライバーと比較して体力的な負担が少ないです。
- 年収が高くなる傾向がある
-
危険物や毒物・劇物を取り扱うことが多いため専門性が高く、その分年収が高くなる傾向があります。
平均年収
収入については、運転する車両のサイズや種類、運搬物によって違いがでる点に注意が必要です。
主な運搬物 | 平均年収 |
---|---|
粉粒系(非危険物) | 400万円 |
ガソリンや石油 | 450万円~500万円 |
LPガス | 400万円~450万円 |
ケミカル系 | 600万円~650万円 |
一般的な年収になりますが、非危険物の運搬は低く、専門性の高いケミカル系は高くなる傾向にあります。
収入は勤続年数や取得している資格、企業の経営状況などにより左右されるため、転職の際は求人情報をしっかり比較検討するとよいでしょう。
求められるスキル
タンクローリーを運転する際に求められるスキルについても紹介します。
- 運転技術
-
タンクローリーの積載物は液体が多く、タンク内はいくつかの部屋に仕切られているものの、急ブレーキを踏むとタンク内の液体が激しく動きます。これにより、カーブの遠心力で車両が制御できず、バランスを崩す可能性があります。
車両のほとんどは大型であり、タンクトレーラーになると更に大型・縦長になるため、内輪差の把握など、高度な技術が必要となるでしょう。
- 安全意識
-
タンクローリーの運転は簡単ではなく、危険物や毒物・劇物の運搬することが多いため、小さなミスが大事故につながる危険性があります。そのため、速度の規制や点検に関する遵守事項・作業手順、積み下ろしの際に混入を防ぐルールなどが細かく規定されています。
運転の際は、普段以上の集中力に加え、安全意識をしっかりと持っておくことが必要です。
- 事故の対処
-
万が一事故が起こってしまった際、どのように対処するのか、対処の方法を知っていることが必要です。
危険物を運搬する際に携行する「イエローカード」(緊急連絡カード)には、事故発生時の応急措置や緊急通報先など、事故発生時に役立つ情報が記載されています。
事前に情報を確認して、もしもの際は慌てず落ち着いて行動できるように心がけておきましょう。
タンクローリードライバーの年収や1日の流れなど、詳しく知りたい方は関連記事もご確認ください。

Q&A タンクローリーに関するよくある質問
タンクローリーに関してよくある質問についてまとめました。
- タンクローリーは普通免許でも運転できるの?
-
車両総重量が3.5t未満の小型タンクローリーなら運転できる
軽トラックに小型のタンクを積んだ小型のローリー車であれば、普通免許でも運転が可能です。
冬季のガソリンスタンドから個人宅へ灯油配送などが有名でしょう。ただしこの場合は、普通免許の他に危険物乙種4類または丙種が必要になります。
- タンクローリーにけん引免許は必ず必要なの?
-
なくても問題ない
車体とタンクが一体になっている車両なら、けん引免許がなくても問題ありません。
もちろん、車体とタンクが別になっているいわゆるタンクトレーラーを運転する場合は必要になります。
- 危険物取扱者乙4を持っている場合は何の運搬ならできるの?
-
ガソリンや灯油・重油の運搬ができる
乙4があれば、ガソリンや灯油・重油・アルコール類などの引火性液体の運搬が可能になります。
化学薬品などは運べませんが、すでに乙種のどれかを持っていると追加受験の際は受験科目の免除が受けられます。
- タンクローリーは運転免許をとれば未経験でも運転できる?
-
できるが大型になればなるほど運転技術が必要になる
経験のない車両サイズで危険物を運搬する場合は、事故のリスクが高まります。事前に企業の研修制度など確認しておくことをおすすめします。
基本的には、運転経験がある車両サイズまたは少し大きい程度の車両で非危険物の運搬から始め、経験を積む方がよいでしょう。
タンクローリーを運転するなら大型免許・けん引免許の取得がおすすめ!

タンクローリーの運転に必要な免許や資格を中心に、タンクローリーについて解説してきました。
運搬物や使用している車両は企業によって様々ですが、タンクローリーは大型車をベースとしているものが多く、輸送量が多くなると増えてくるタンクトレーラー車のベースも大型車です。
以上のことから、大型免許とけん引免許を取得しておけば、臨機応変な対応が可能となり就業先の選択肢が増えるでしょう。あわせて、危険物取扱者乙種4類を取得しておくと対応範囲が広くなります。
企業によっては資格取得支援制度・研修制度を設けており、未経験から挑戦できるタンクローリードライバーの仕事もあります。
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- 公益社団法人全日本トラック協会