パッカー車(ごみ収集車)の運転に必要な免許は?車両サイズと対応する免許について

「パッカー車」とはいわゆる「ごみ収集車」のことで、家庭や会社などから出たさまざまなごみを収集して街をきれいにする重要な役割を持った特殊な車両です。

このパッカー車を運転するために必要なのはどの免許なのでしょうか?

先に結論を述べておくと、一般的に使用されているパッカー車であれば「中型免許」小さいサイズのパッカー車であれば「準中型免許」を持っていれば運転できます。

本記事では、パッカー車の種類やサイズ、サイズに対応した必要な免許と代表的な収集物、免許の取得方法などについて詳しく解説します。

ごみ収集車のドライバーに転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

ドライバージャーナルコラム編集部
配送・旅客ドライバー専門の求人サイトの「ドライバージャーナル」が運営する業界研究コラム「ドライバージャーナルコラム」の編集部です。ドライバー業界で働く際に必要な免許・資格から転職事情までありとあらゆる情報を発信しています。

目次

パッカー車(ごみ収集車)ってどんな車両なの?

パッカー車の呼び名について

パッカー車はごみを収集することに特化した特殊な車両で、8ナンバーの特殊用途自動車に区分されます。車両の形状は、ごみを積み込む大きな荷箱を搭載し、荷箱の後部にはごみを荷箱の中に押し込むための圧縮機構を備えていることが特徴です。

パッカー車には呼び方がいくつかあり、国土交通省が使っている正式な名称が「塵芥車」ごみ収集を行う専門車の社会的総称が「ごみ収集車」ごみ収集車の業界内での呼び方(専門用語)が「パッカー車」となります。

パッカー車の積み込み方法は3種類

パッカー車の積み込み方法は3種類ある

パッカー車とひとまとめに呼んでいますが、ごみの積み込み方法の違いによって以下の3つに種類分けできます。

  • プレス式パッカー車
  • 回転板式パッカー車
  • ロータリー式パッカー車

それぞれどういう方法でごみを積み込んでいるのか以下で詳しく見ていきましょう。

プレス式パッカー車

プレス式は、強力な二段階の圧縮機構を用いてごみを小さくしながら荷箱に押し込んでいくパッカー車です。

ごみの投入口で細かく粉砕してから押し込み板で圧縮するため、硬いものでも問題なく粉砕・圧縮してごみを回収できます。 一般的なごみだけでなく、サイズの大きい家具や家電、自転車など様々なごみに対応可能です。

ただし、過去には作業員が巻き込まれてケガをしてしまった事例があるため、作業を行う際には安全確認を徹底することが必要となります。

回転板式パッカー車

回転板式は、ごみ投入口に設置された回転板がごみを巻き込みながら荷箱に押し込んでいくパッカー車です。

板が回転してごみを重ね、巻き込んで荷箱に押し込んで圧縮していくのですが、このときの力はプレス式よりも弱く、粗大ごみなどは粉砕できません。そのため主に、一般家庭のごみを収集や剪定作業後の小枝や木くずなどを収集する際に使われています。

ロータリー式パッカー車

ロータリー式は、荷箱となる円形のドラムが回転することでごみを押し込んでいくパッカー車です。

ドラムが回りながらごみを巻き込んでいく仕組みで、常にドラムが回転しているためごみを入れ続けても問題なく、水分を含んだごみを収集する際に汚水が飛び散りにくいことが特徴です。

構造がシンプルで汚れにくくメンテナンスがしやすいという魅力的なメリットがある反面、他に比べて圧縮力が弱く積載量も少ないというデメリットがあるため、現在ではあまり見かけなくなっています。

ごみの排出方法にも違いあり

ごみの排出方法にも3つ種類があります。

  • 押し出し式
    荷箱の奥に設置された排出板が奥からごみを押し出すことで排出できます。排出力が大変強く、荷箱にごみが残りにくいことが魅力です。
  • ダンプ式
    荷箱自体をダンプアップさせることで、一気にごみを排出します。細かいゴミが残る可能性がありますが、軽いごみの多い回転板式の車両とは相性がいいです。
  • ロータリー式
    円形のドラムを逆回転させることで、回収したごみを排出します。

業務にどの車両を使うのかは、収集するごみの種類や量、企業や自治体によってかわります。また、積み込み方法はもちろんメーカーによって操作方法や操作ボタンの位置が違うので、その点は覚えておくとよいでしょう。

パッカー車を運転するために必要な免許について

パッカー車を運転するために必要な免許

パッカー車は「中型免許」を持っていれば、ほとんどの車種が運転できます。また、家庭ごみを収集する際によく使われる一番小さいサイズの2トンパッカー車であれば「準中型免許」でも運転が可能です。

ただし、業界で一般的に使われている車両は3トンや4トンのパッカー車で、小さいサイズのパッカー車を所持していない企業・自治体もあります。その場合は準中型免許では運転できないため注意が必要です。

ここでは基本的な一種免許の重量制限などの規定についてまとめ、その後にパッカー車の車両サイズに対応した免許について解説します。

各種免許の重量制限などの規定

免許の種類と車両総重量

基本的な一種免許の種類ごとに、車両総重量と最大積載量といった重量制限、受験資格、乗車できる代表的な車両を表にまとめました。

免許の種類車両総重量最大積載量乗車定員受験資格代表的な車両
普通免許3.5トン未満2トン未満10人以下18歳以上普通車・ワゴン車
準中型免許5t限定
(平成29年3月11日までに普通免許を取得)
5トン未満3トン未満10人以下新規取得不可2トントラック
準中型免許3.5トン以上
7.5トン未満
2トン以上
4.5トン未満
10人以下18歳以上3トントラック
中型免許8t限定
(平成19年6月1日までに普通免許を取得)
8トン未満5トン未満10人以下新規取得不可4トントラック
中型免許7.5トン以上
11トン未満
4.5トン以上
6.5トン未満
29人以下20歳以上
(普通免許等保有2年以上)
6トントラック
大型免許11トン以上6.5トン以上30人以上21歳以上
(普通免許等保有3年以上)
大型トラック
※受験免許特例教習を受けることで、19歳以上(普通免許保有1年)で中型免許・大型免許を取得することも可能

運転できる車両を確認する際に重要となる要素は、車両の重量制限です。

各種免許には、車両総重量と最大積載量の基準が設けられています。車両総重量は、車両そのものの重さ・最大乗車人数(1人55㎏計算)・積み荷の総重量を足した重さのことで、最大積載量は、積み込める荷物の最大限の重量のことです。

車両総重量の計算式
車両総重量=車両重量+(乗車定員×55kg)+最大積載量
最大積載量の計算式
最大積載量=車両総重量-車両重量-全乗員重量(定員×55kg)

車両総重量又は最大積載量のどちらかが基準を超えていれば、上位の車両です。最大積載量が基準内だとしても車両総重量が超えていれば上位の免許が必要になるため、最大積載量はあくまで目安として、車検証に記載された車両総重量に基づいて運転できるか否かを判断しましょう。

車両総重量を超える荷物を積むことは、過積載という違法行為にあたります。過積載は道路交通法(第57条)、道路法(第47条)、貨物自動車運送事業法(第17条)において違法となり、ドライバーだけでなく、事業主・荷主にも罰則が課せられるため注意が必要です。

乗車定員は1人55㎏で計算しているため、それ以上の体重の方が定員分乗車した場合は厳密に言うと過積載になります。過積載の場合は罰則を受けることはもちろん、重量が増えれば増えるだけ安全性の問題も高まるので、最大積載量ギリギリまで積み荷を積むことは避けた方がよいでしょう。

パッカー車の車両サイズと対応する免許

パッカー車に車両サイズと対応する免許

前の項目で基本的な一種免許の種類ごとに、車両総重量と最大積載量といった重量制限について説明してきましたが、パッカー車の場合はどうなるでしょうか。

パッカー車の車両サイズはおおよそ「小型」「中型」「大型」の3種類となり、車両サイズと必要になる免許、主な積載物について簡単にまとめたものが以下の表になります。

車両サイズ免許主な積載物
小型(2トン車・3トン車)準中型免許家庭ごみや事業ごみなどの一般廃棄物
中型(3トン車・4トン車)中型免許一般廃棄物・産業廃棄物
大型大型免許大型の生産工場から排出される大量の産業廃棄物

表の通り、家庭ごみの収集などに使われることが多い最軽量クラスのパッカー車は2トン車なので、準中型免許があれば運転が可能です。

ここで注意が必要なのは3トンパッカー車です。

3トントラックは準中型免許で運転できることがほとんどですが、パッカー車は圧縮機構を備えている関係で通常のトラックよりも車両自体が重いことが多いのです。同じ3トンパッカー車でもメーカーによっては車検証に記された総重量が7.5トンを超える車両があり、その場合は中型免許が必要になります。

前の項目で説明した通り、運転できる免許についてはその車両の車検証に記された車両総重量で判断します。準中型免許で3トンパッカー車を運転する場合は、必ず車検証を確認しましょう。重ねてになりますが、過積載は違法行為で、ドライバー・事業者・荷主に罰則が科せられます。

企業や自治体、収集するごみによって使用する車両の種類・サイズが違うため、中型免許を取っておいた方が様々な状況に対応できるといえるでしょう。

トランスミッションはAT(オートマチック)かMT(マニュアル)か
基本的にはMTの免許を取っておくとよいでしょう。
最近では ATで運転できるパッカー車も出てきていますが、基本的にはパッカー車(トラック)はMT車が多数派を占めてるのが現状です。企業や自治体がAT車を所持していなければAT免許では運転ができないため、MT免許を取得しておくか、AT車を多く所持している企業や自治体を選ぶことが必要になります。

パッカー車の運転に必要な免許を取得するための期間と費用

パッカー車に必要な免許を取得するための期間と費用

パッカー車を運転するために免許を取得したい方、運転できるように免許をアップグレードしたい方に向けて、準中型免許と中型免許を取得するために必要な期間と費用について解説します。

準中型免許を取得したい場合

準中型免許を取得するための期間と費用はおおよそ以下の表のようになります。

現在の状態〈教習所〉期間〈教習所〉費用〈合宿〉期間〈合宿〉費用
免許なし2か月〜3か月約35万円~40万円18日~20日約30万円~45万円
普通免許約2週間約20万円~25万円6日~10日約17万円~30万円
準中型免許
5トン限定
1週間〜2週間約15万円5日〜7日約13万円~16万円

期間や費用は地域や季節によって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認するようにしましょう。

合宿の方が短期間でかつ費用を抑えて取得できるため、まとまった時間が取れる方は、合宿に参加して短期間での取得を検討してみてはいかがでしょうか。

中型免許を取得したい場合

中型免許を取得するための期間と費用はおおよそ以下の表のようになります。

現在の状態〈教習所〉期間〈教習所〉費用〈合宿〉期間〈合宿〉費用
普通免許1か月~2か月約18万円~27万円8日~11日約17万円~31万円
準中型免許
5トン限定
3週間~2か月約14万円~24万円6日~10日約13万円~25万円
準中型免許1週間~3週間約12万円~18万円5日~6日約13万円~15万円
中型免許
8トン限定
1週間~2週間約10万円~15万円3日~7日約7万円~15万円

中型免許は免許の規定の項目で説明した通り、基本的には普通免許を取得してから2年以上の運転経験が必要になるため、免許がない状態から取得することはできません。

期間や費用については地域や季節、所持している免許のトランスミッションによって変動があるため、詳細は最寄りの自動車教習所に確認するようにしましょう。

就職を見据えるなら中型免許の取得がおすすめ

普通免許を取得している状態から、準中型免許を取得するか中型免許を取得するか悩んでいるなら、最初から中型免許を取得しておくとよいでしょう。

企業や自治体が保有している車両の種類やサイズが幅広い場合、準中型免許では対応できない大きな車両を運転するよう指示される可能性があります。また、希望の勤務先に準中型免許で運転できる車両がない場合は、諦めるか免許のアップグレードをするしか対処法がありません。

最初から中型免許を持っていれば様々な状況に対応でき、大きな車両を運転できることで高い給与の求人に応募しやすくなります。仕事を変えたいと思い立った際、転職先の選択肢を広げることにも繋がるでしょう。

パッカー車を使用したごみ収集の仕事に関して詳しく知りたい方は、関連記事もご確認ください。

パッカー車は「準中型免許」か「中型免許」があれば運転できる

パッカー車は準中型免許か中型免許があれば運転可能

パッカー車を運転するために必要な免許やパッカー車のサイズなどについて解説してきました。

準中型免許でも運転はできますが、様々な状況に対応できるようにしておくなら中型免許を持っておくとよいでしょう。大きい車両が運転できる免許があれば対応力が上がり、いざという時の融通が利くようになります。

ごみ収集の仕事は社会インフラ維持のために大変重要なお仕事です。

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