送迎バスは普通免許で運転できるの? 二種免許が必要なケースと送迎バスのドライバー需要

送迎バスのドライバーは近年、早期退職・定年退職後のセカンドキャリアとして話題になっています。

人を乗せて運転するため二種免許が必要だと思われがちですが、実は普通自動車第一種運転免許で運転できることが多いのです。その気軽さと送迎バスの需要の高さも相まって中高年の転職や定年退職後のセカンドキャリアとして人気となっています。

ではなぜ、送迎バスは一種免許でも問題ないのでしょうか。

本記事では、送迎バスの運転が一種免許でも大丈夫な理由や、二種免許や中型免許が必要になるケース、送迎バスドライバーの雇用状況や需要などについて解説します。

この記事を書いた人

ドライバージャーナルコラム編集部
配送・旅客ドライバー専門の求人サイトの「ドライバージャーナル」が運営する業界研究コラム「ドライバージャーナルコラム」の編集部です。ドライバー業界で働く際に必要な免許・資格から転職事情までありとあらゆる情報を発信しています。

目次

送迎バスは基本的に一種免許で運転可能!

送迎バスが一種免許で運転できる理由

バスやタクシーなどの旅客自動車を運転するために二種免許が必要であることは多くの方が知っていることでしょう。ですが、先に述べた通り送迎バスは一種免許で運転できることがほとんどです。

一種免許と二種免許の違いについて

まずは一種免許と二種免許の違いについて簡単に説明します。

第一種運転免許

第一種免許は「車両の運転」を目的とした免許です。
多くの人が取得するベースの免許となり、運賃が発生するような営利目的では使用することは出来ません。

第二種運転免許

第二種免許は「旅客自動車(緑ナンバー車)」を使い、「旅客輸送」をするための免許です。
旅客自動車(緑ナンバー車)は、タクシーや路線バス、高速バスなどお客様を輸送することを目的に運賃をいただく場合の車両のことを言います。

どちらも車両を運転するために必要な免許ですが、運転の目的が営利か否かで分かれています。

送迎バスが一種免許で運転できる理由

送迎バスが一種免許で運転できる理由は、送迎バスは基本的に「運賃をとっていない」ことが多いからです。

一種免許と二種免許の違いで説明した通り、営利目的で運賃をとる場合は二種免許が必要になりますが、自社が持っている白ナンバーの車で送迎を行い、運賃をとっていないのであれば、運転者の免許は一種免許で問題ありません。

二種免許と緑ナンバー車が必要になるバスやタクシー事業は旅客自動車運送業といい、旅客自動車運送事業は道路運送法(第2条第2項)によって、以下のように定義されています。

「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」

運賃をとっているか否か、という部分が重視されており、運賃をとっていない=旅客自動車業ではない(緑ナンバー車ではない)=二種免許じゃなくてもよい、ということなのです。

「施設利用費に送迎費用を含める場合、二種免許が必要になるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。この場合、送迎の対価としての運賃ではなく、宿泊や通院、通園などの施設を利用するためのサービス費用の中に含まれているものと考えられるため、二種免許は必要ありません。

一種免許で運転できる送迎バスの具体例としては以下のようなものがあげられます。

  • ホテル
  • 介護施設
  • 病院
  • 幼稚園
  • 保育園
  • 塾や教習所などのスクール
  • 企業や工場
  • 冠婚葬祭
  • 商業施設
  • レジャー施設
  • イベント会場

送迎に使用している車両のナンバープレートの色が白であれば、自社で持っている車両で運賃をとっていない送迎を行っていると判断できます。

二種免許が必要になるケースについて

送迎バスでも「運賃をとっている」場合は二種免許が必要になります。

運賃をとる送迎バスは、バス会社に車両や運転手の確保など運行自体を完全に委託しているケースが多いです。

編集部スタッフ

筆者が高校生の時、駅から学校内まで乗り入れる直通バスがありました。路線バスと同じ車両で、バス会社から定期券を購入していた記憶があります。高校から依頼があった上で、登下校時だけ路線バスに変則ルートを設けた、という扱いだったのでしょう。

送迎バスをどのように運営するかは、施設や企業、関わる自治体によってそれぞれです。自治体からの補助の有無、完全委託か共同運行かなどによって運賃をとるとらないが変わってきます。

一種免許で送迎バスを運転したい場合は、前の項で具体例をあげたような運賃の発生しない送迎バスを運行している施設などを探すとよいでしょう。

将来的に大型バスも運転してみたい、という希望があるなら、大型自動車第二種運転免許の取得支援を行っているバス会社を探して応募するのもありでしょう。

車両のサイズによって必要な免許が変わる

車両サイズによって必要な免許がかわる

これまで一種免許と二種免許について解説してきましたが、ここからは、車両サイズによって必要になる運転免許について解説します。

運転免許の種類と運転可能な車両について

運転免許の種類によって、運転できる車両の大きさや積載量、乗車定員が決められています。

乗車定員最大積載量車種
普通自動車免許10人以下2t未満ハイエースなどの
ワゴン・バン
準中型免許10人以下4.5t未満ハイエースなどの
ワゴン・バン
8t限定中型免許
(平成19年6月2日よりも前に取得した普通免許)
10人以下5t未満ハイエースなどの
ワゴン・バン
中型免許29人以下6.5t未満ハイエースコミューター
マイクロバス
大型免許30人以上6.5t以上大型バス

以上の表から、乗車定員10人以下の普通車であれば、普通免許・準中型免許・8t限定中型免許のどれを持っていても運転できることがわかります。

マイクロバスやハイエースコミューターなどの大きい車両を運転する際は中型免許大型バスを運転する場合は大型免許が必要になります。

施設やサービス利用者の規模によって変わるため一概には言えませんが、医療・介護施設や役員送迎は普通免許のみで問題なく、ホテルやスクール系の送迎には中型・大型免許、幼稚園・保育園には普通・中型・大型免許まで幅広く必要な傾向があります。

送迎バスの仕事を探す際は、使用する車両の大きさ、必要な免許をしっかり確認するようにしましょう。

幼児送迎バスにおける乗車定員の考え方

幼児送迎バスの乗車定員

車両の乗車定員における人数の考え方は、道路運送車両の保安基準(第53条2項)で以下のようにと定められています。

「十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする。」

もう少し簡単に言うと、12歳以上の者は1人、12歳未満の子どもは3人で12歳以上2人分となります。

幼児送迎バスでよくある子ども12人+大人2人定員の場合は大人10人という計算になるため、車両が通常のワゴン車であれば普通免許で運転可能です。

幼稚園や保育園の送迎バスのドライバーを考えている方は、覚えておくと役に立つ知識でしょう。


免許の種類をもっと知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご確認ください。

送迎ドライバーになりたい方へ!雇用状況について解説

送迎ドライバー雇用状況まとめ

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag(ジョブタグ)」の情報から、送迎バスドライバーの就業状況や雇用状況を簡単にまとめました。

就業者数

全国:1,445,820人

雇用形態

平均年齢

全国:53.9歳

平均年収

全国:454万円

平均給与(月給)

全国:20.4万円

有効求人倍率 

全国:1.06% 

出典:職業情報提供サイト「ジョブタグ」送迎バス等運転手

都道府県ごとの数字を知りたい方、詳細を確認したい方は出典元のページをご確認ください。

ドライバージャーナルでは数多くの送迎ドライバー案件を取り扱っています。免許や条件によって検索ができるので、送迎ドライバーのお仕事に興味がある方はぜひチェックしてみてください。

需要が高まってきている送迎バスはセカンドキャリアに適している

送迎バスはセカンドキャリアに適している

送迎バスは、ホテルや介護施設などはもちろん、病院、商業施設、各種スクールなど様々な場所で活躍の機会があります。

車社会が進む一方、過疎化・高齢化などの影響で採算が取れず、鉄道や路線バスの減便・廃線をせざるをえない地域も出てきています。高齢者の運転免許返納も増加しており、交通手段を持たない住民が移動手段を確保することが難しい場合が多くなっているのです。

そんな交通空白地帯で、特にスーパーや病院などへの移動手段として、送迎バスの需要が高まってきています。

需要の高まりを受けて、求人数も増加傾向となっています。普通免許で運転できる気軽さと、業務時間が短い傾向があり、年齢を問わない募集が多いため、中高年の転職や定年退職後のセカンドキャリアに適しているといえるでしょう。

本記事が、送迎バスのドライバーに興味をお持ちの方の参考になれば幸いです。

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